本来、憲法に生存権の規定があるのに、「そもそも地域に病院がない」、「病院があっても医師がいない」など、そこに住む患者や住民の皆さんが適切な医療が受けられないといった事態は、 許されるものではありません。
また、我が国の医療は、わたしたちの保険料と税金で支え合って成り立つ公的なものです。 わたしたち国民が託したかけがえなのない健康と命が守れる医療 、その前提である 医師などの医療従事者が健全にかつ将来に希望を持って働ける医療 でなければなりません。
こうした医療崩壊を阻止する唯一の切り札が「医療基本法」の制定による医療再建の取り組みです。実は、国政の重要政策分野において政策の基本理念などを定める憲法の次に偉い法律である環境基本法、教育基本法などの「○○基本法」が医療分野にだけ存在しなかったことが今日の医療崩壊の原因です。私は、東京大学の医療政策講座で学び、医師や患者団体の皆さんと一緒にこの医療基本法の制定活動を行って来た、この政策の第一人者です。
「医療基本法」を制定し、①医療が疾病による尊厳の危機から国民を守るためにあること、そしてそれを実現するためには医師などの医療従事者と患者・国民の協働による取り組みが必要であることを確認し、②さらに、医療従事者や患者・国民などの関係者からなる我が国の医療のあり方についての国民的議論の場を設定し、医師の診療科と地域の偏在是正の解消の方策など、医療再建のために真に必要な政策群を盛り込んだ医療再建の総合計画(マスタープラン)を策定し、それら政治的なリーダーシップで実行し、医療再建を進めます。 医療基本法による政策推進イメージ
※医療基本法について
(株)キャリアブレイン社インタビュー記事
https://www.cabrain.net/news/article/newsId/25357.html
学会発表プレゼン資料「医療基本法の提案」、医療基本法条文イメージ
※ 医療基本法は1972年に当時の与野党がそれぞれの案を国会で審議し合った経緯があります。自民党案は医師の既得権のための法律案ですが、当時の野党案には、憲法25条の生存権の具現化など、今日的に見ても素晴らしい条文が散りばめられています。
1972年の与野党の医療基本法条文案
※ なお、2010年3月には日本医師会の検討委員会においても医療基本法の必要性が打ち出され、私の医療基本法構想が一層現実に近付いたものと確信しています。
http://www.med.or.jp/shirokuma/no1264.html